山形大学農学部
 

生物資源学科

Department of Bioresource Engineering
現代社会が抱えている食糧、資源、エネルギーおよび環境の諸問題を解決するためには、我々は早急に解 決への道筋を求め、そのために必要な教育・研究活動を展開しなければなりません。そこで、21世紀に求められている農学のビジョンの中で重要な柱となる生物の開発・応用にかかわる学科として本学科は新設されました。すなわち、バイオテクノロジーなどの先端的手法も取り入れ、農業生産物や未利用資源の有効利用技術の開発や生物資源の改良・開発を目的として教育・研究を行っています。
本学科には生物機能調節学講座と生物資源利用化学講座の2講座があり、社会的、地域的ニーズに応えるべく、内容の整備・充実を図っております。

生物機能調節学講座

動物、植物、微生物を対象としたバイオテクノロジー、機能性物質のバイオファンクショナルケミストリーおよび農作物のフィジオケミストリーを主に研究しています。つまり、動植物や微生物の持つ多様な機能を明らかにしてその応用を図るため、遺伝子など分子レベルから固体・集団レベルまで、多岐にわたる諸問題に取り組んでいます。主な教育研究分野は、微生物機能調節学、植物遺伝・育種学、植物遺伝資源学、動物機能調節学、昆虫環境生理学、生物機能有機化学、農産物生理化学です。
微生物機能調節学分野

海底堆積物や水田土壌などの嫌気環境に生息する微生物の生態ならびに多様性の解析、重金属含有廃水の微生物浄化、バイオマス資源の微生物変換による有効利用などについての研究を行っています。
(左)クリーンベンチでの無菌操作
(中)微生物遺伝子の塩基配列解析
(右)ガスクロマトグラフによる発酵生成物の分析
植物遺伝・育種学分野

作物の収量や品種・成分および各種耐性に関わる遺伝子やタンパク質・酵素およびアミノ酸などに関して、遺伝子工学的手法も取り入れて分子遺伝・育種学的研究を行っています。

(左)種子中のタンパク質のプロテオーム解析
(右)種子で発現している遺伝子の塩基配列解析
植物遺伝資源学分野

フィールドワークや分析・実験を利用して、地域在来の植物資源の収集、保存、利用のための研究を行っています。在来作物の遺伝的類縁関係や歴史・文化的背景についても考究しています。

(左)演習林における在来カブの特性調査
(右)DNAの電気泳動
動物機能調節学分野

ヒトからネズミまでの動物の発生・分化を基に、動物の持つ機能を調節・応用する研究を行っています。主な課題は環境ホルモンが動物に及ぼす影響、体外受精、雌雄産み分け、受精卵移植です。

(左)動物発生工学に使うスナネズミ
(右)雌雄判別のためのウシ胚のバイオプシー
昆虫環境生理学分野

本分野は、厳しい環境条件に対する昆虫の耐性機構(低温、高温、乾燥など)を生理学的手法に重点をおいて研究し、昆虫発展の原動力を耐性物質の利用の可能性を探っています。

(左)消化酵素分析のため、カラスの解剖を行っている学生
(右)ニカメイチュウの前胸腺(エクジソンを分泌する器官)を摘出する方法について、指導を受けている学生
生物機能有機化学分野

植物や微生物、動物細胞などに対して生理活性を示す化合物の構造解析や微生物による有機化合物の変換など新しい生物機能に関する基礎と応用について研究を行っています。
(左)当分野の学生実験の様子
(右)植物の生長を阻害する物質の発見
農産物生理化学分野

農産物の品質を構成する要素の収穫後の変化とそのメカニズムについて研究を行っています。さらにその成果を基礎として、個々の農作物に適した追熟、貯蔵、および流通技術の確立をめざしています。

(左)日本ではめずらしい赤いセイヨウナシ
(右)ラ・フランスの食べ頃の非破壊評価

生物資源利用化学講座

生物資源の有効利用に関する講座で、生物の機能解明のための基礎研究から、未利用バイオマス資源の開 発と有効利用、農産物およびその他の食糧資源・遺伝資源の高度利用と利用技術の開発などについて、基礎から応用に至るまで幅広い教育・研究を進めていま す。
主な教育研究分野は、植物栄養学・土壌学、分子細胞生化学、微生物資源利用学、バイオマス資源学、食品素材化学、食品栄養化学です。
植物栄養学・土壌学分野

植物成育に不可欠な栄養分の供給が不良な土が世界に広大にあり、植物の中には土にいる菌と共生して、そのようなストレスへの巧みな耐性戦略を持つものがあります。さらに、種々の汚染環境を修復できる特異な機能を持つ植物もあります。本分野はこれらを対象として研究しています。
(左)菌根菌接種と非接種のネギの成育
(右)三価金属イオン処理による根端原形質膜透過性の経時的変化(エンドウ)
分子細胞生化学分野

植物の種子は、どうやって芽を出すのでしょうか。また、茎はどうやって伸びていくのでしょうか。本分野はこうした植物の成長のしくみについて細胞内の遺伝子やタンパク質を調べることで明らかにすることをめざしています。

(左)ニンジン培養細胞のホルモンによる誘導
(右)GFP融合タンパク質の葉緑体への移行
微生物資源利用学分野

環境中に生息するさまざまな未利用微生物を探索・取得し、有用微生物資源として利用することをめざしています。また、これらの未利用微生物を効率的に取得するため、分子生態学的手法を駆使して目的とする微生物を特異的に検出・解析することを試みています。

シロアリの消化管内に生息するさまざまな微生物のうち、バクテリアのみを特異的に検出(蛍光in-situハイブリダイゼーション法を使用)
バイオマス資源分野

微生物は農産廃棄物・生ゴミ・廃水などからメタン・エタノールなどのエネルギー源を生成したり、汚染物質を分解したりする多才な能力を持ちます。地球上にまだ無数に存在すると考えられる未知の微生物の能力について、無酸素環境下に生息する細菌群集を主な対象として研究しています。

(左)廃水のメタン発酵槽から分離した嫌気性セルロース分解細菌CDT-1株
(右)ろ紙片を含む培地(試験管左)にCDT-1株を接種して無酸素条件で培養後、ろ紙が分解された状態(試験管右)
食品素材化学分野

菌類の産生する有用酵素、あるいは微量でも重要な成分について、それらの構造と機能との関係などを、生化学的および有機化学的解析をとおして研究しています。
(左)Aspergillus awamori由来フェルロイルエステラーゼの立体構造と触媒部位
(右)植物のサンプルをロータリーエバポレーターで濃縮中
食品栄養化学分野

未利用生物資源を含めた食糧資源からの病気・老化の予防に有用な食品素材・成分の開発、また、それらの作用分子機構の解明に取り組み、楽しい健康な食生活に役立つ食品の創出をめざして、遺伝子レベルから細胞・動物個体レベルで研究しています。

(左)Caco-2細胞の培養風景
(右)ビアコアによる物質間相互作用の検討

研究室紹介


職名
氏 名
教   育   研  究  分  野
HP
専 門
内        容




調





教 授 後藤三千代 昆虫環境生理学 昆虫の環境適応に関する研究,特に休眠と耐寒性機構の解明  
教 授 上木 勝司 微生物機能調節学 偏性嫌気性細菌の生理・生化学およびバイオマス変換や環境汚 染浄化への利用  
教 授 戸津川 清 動物機能調節学 哺乳動物の生殖生理・環境ホルモンおよび動物発生工学に関する研究  
教 授 貫名  学 生物機能有機化学 機能性物質の単離・構造解析と有機化合物の微生物による変換
教 授 阿部 利徳 植物遺伝・育種学 作物の種子成分の生合成と関連遺伝子および成分育種の分子遺伝・育種学的研究
教 授 村山 哲也 生物機能有機化学 自生生物に含まれる機能性物質に関する研究  
教 授 村山 秀樹 農産物生理化学 農作物の品質保持ならびに収穫後生理に関する研究  
准教授 江頭 宏昌 植物遺伝資源学 在来作物を主とした有用植物遺伝資源および育種技術の開発に関する研究  
准教授 木村 直子 動物機能調節学 哺乳類卵母細胞の減数分裂機構,家禽類の生命工学技術の開発  
准教授 加来 伸夫 微生物機能調節学 嫌気性微生物の生理・生態学および微生物を用いた環境浄化
准教授 笹沼 恒男 植物遺伝学 ムギ類を主とした植物の進化・多様性解析および遺伝育種学的研究  









教 授 我妻 忠雄 植物栄養学・土壌学 耐酸性植物の作出,植物を利用した環境修復
教 授 五十嵐喜治 食品栄養化学 生物資源からの抗疾病性機能物質の開発とその機能発現機構
教 授 上木 厚子 環境微生物学 低酸素環境下の細菌の生理生態と未利用バイオマス資源からの メタンの回収  
教 授 三橋  渉 分子細胞生化学 高等植物の発生・分化・成長の生化学的・分子生物学的研究
教 授 俵谷圭太郎 植物栄養学・土壌学 根圏土壌における共生微生物の生態生理と高等植物の栄養生理  
准教授 小関 卓也 食品素材化学 糸状菌の産生する有用酵素の探索および酵素工学的研究  
教 授 佐藤 英世 食品栄養化学 酸化ストレスに対する生体防御機構,アミノ酸トランスポーター  
准教授 豊増 知伸 分子細胞生化学 テルペン類の生合成に関する分子生物学的研究
准教授 塩野 義人 食品素材化学 微生物や植物により生産される生理活性物質に関する研究  
助 教 服部  聡 微生物資源利用学 新規有用微生物資源の探索・分子微生物生態学的研究  
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