土壌窒素の発現量は、速度論的解析法により、無機化パラメータを求め、府の区のある2項モデルにあてはめ推定してきた。そして、土壌窒素無機化量と水稲窒素吸収量の関係から、無窒素区の稲については、稲作期間に発言する土壌窒素無機化量と稲態窒素吸収量が成熟期の段階でほぼ一致することを認めた。
また、標準区の稲については、時期別土壌窒素の発現量として、7月以降、根圏耕土層を加味(10a当たり15cmに換算)し、さらに、基肥窒素と追肥窒素とを考慮し、稲作期間における吸収可能な窒素量を求めた。そして、標準区の稲態窒素吸収量を重ね合わせた結果、7月中旬以降、ほぼ一致することから、7月以降の土壌窒素発現予測の重要性を指摘した。
なお、水稲の追肥診断技術をシステム化するために、地域別の理想的な窒素吸収パターンと土壌窒素発現予測法を組み合わせる考え方を示した。
今後は、土壌窒素発現モデル式に、春先の圃場の乾き具合を考慮した乾土効果の影響や下層土からの窒素供給量を加味するとともに、水稲から見た窒素吸収特性などを考慮し、よりダイナミックな土壌窒素無機化情報と追肥診断システムを構築していきたい。