低位生産性水田における深耕の効果

角田憲一・安藤豊・佐藤隆・志賀勲

山形大学紀要(農学) 12-2, 103-109 (1995)
 

 深耕は収量を増加させる技術として従来より知られている。しかしこれまで低位生産性土壌での深耕が収量及び玄米品質の両者へ及ぼす影響について検討されたものは少ない。そこで低位生産性土壌の深耕において、収量及び玄米品質に及ぼす影響を3段階の栽植密度を用いて検討した。得られた結果は以下の通りである。
 1) 深耕密植条件では、単位面積あたり穂数を増大させた。
 2) 生育初期における深耕密植区の植物体の窒素吸収量は、他の栽植密度の深耕区より高くなった。
 3) 耕起法に関わらず、最高分げつ期における根の乾物重は密植条件で増大した。
 4) 登熟歩合は全ての処理区の中で深耕密植区がもっとも高くなった。
 5) 深耕各区の収量は慣行区に比べて減少した。しかし深耕処理区内の収量では、深耕密植区は他の栽植密度の区より高く、慣行区に比べて3%の減収にとどまった。
 6) 玄米の外観品質は、耕起深度と栽植密度に影響を受けた。深耕により玄米の品質は向上し、さらに栽植密度が高い区で高い品質の玄米が得られた。
 

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