異なる土壌における水稲茎数と土壌のアンモニア態窒素
○佐々木由佳・安藤豊・角田憲一
 

【目的】寒冷地での水稲栽培において安定して高収量を得るためには茎数の確保が重要である。水稲が吸収できる土壌中のアンモニア態窒素は陽イオン交換基に交換・吸着している交換態のものと土壌溶液中に存在している溶存態のものがある。これまでに、異なる土壌間の茎数は交換性アンモニア態窒素量には影響されず、溶液中アンモニア態窒素濃度に支配されることが示唆されている。しかしながら実際の水稲栽培圃場においてこれを直接証明した報告は少ない。そこで本研究では、異なる沖積水田土壌における水稲茎数と交換性アンモニア態窒素量、溶液中アンモニア態窒素濃度の関係について検討した。

【材料及び方法】供試水稲品種は「はえぬき」。供試圃場は山形県鶴岡市農家水田、1998年は19圃場、1999年は35圃場。移植日、移植方法、苗質は各年で統一し、その他の栽培方法は各圃場農家慣行。交換性アンモニア態窒素量の分析方法は常法に従った。土壌溶液は遠心法で採取し、溶液中アンモニア態窒素濃度はインドフェノールブルー法で定量。

【結果】
1)水稲の茎数、穂数、収量は圃場間で1.5倍?2.5倍の差が認められた。
2)交換性アンモニア態窒素量、溶液中アンモニア態窒素濃度は圃場間で3倍?30倍の差が認められた。
3)1998年、1999年とも、移植後20日の茎数は交換性アンモニア態窒素量と一定の関係が認められなかった。
4)1998年、1999年とも、移植後20日の茎数は溶液中アンモニア態窒素濃度と正の相関が認められた。
59移植後20日から40日の茎数増加率は移植後20日から40日の交換性アンモニア態窒素の減少量に左右され、交換性アンモニア態窒素の減少量が少ない圃場ほど茎数増加率が高くなった。
 
 
 
 
 
 

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