水水稲の生育・収量に果たすケイ酸の役割
第9報 シリカゲルの施用法と直播水稲の初期生育
○横山克至・藤井弘志・安藤豊・高取寛・安藤正・渡部幸一郎
                
【目的】演者らは、前報で水稲直播栽培におけるシリカゲルの種子粉衣は初期生育向上効果があることを明らかにした。直播栽培におけるシリカゲルの種子粉衣は、水稲がケイ酸を吸収する環境が苗箱施用と異なるため、施用量と効果との関係が異なると考えられる。本報では、直播栽培においてシリカゲルの種子粉衣量を変えて初期生育への効果について検討した。また、湛水土中条播においてシリカゲルの側条施用による効果について検討した。

【試験方法】
1)栽培概要:品種→はえぬき、直播方式→試験1:湛水土中散播、試験2:湛水土中条播、は種量→乾籾3g/m2、は種日→4月29日、シリカゲル施用方法→試験1:市販種子粉衣資材(商品名:カルパー16)とシリカゲル粉末を各1:0、3:1、2:1、1:1の比率で混合し、各区乾籾種子1g当たり2g粉衣、試験2:ケイ酸30%を含む基肥及びシリカゲルの側条施用(ケイ酸施用量0.9kg/a)、基肥窒素量→試験1FN0.4kg/a、試験2:N0.3kg/a、基肥窒素施用方法→試験1:全層、試験2:側条。
2)調査分析項目:苗立率、茎数、乾物重、草丈、葉色、葉令、窒素含有量、ケイ酸含有量。

【結果】
試験1:1)種子粉衣資材とシリカゲルの比率の違いによる苗立率の有意な差は認められなかった。
          2)シリカゲルの種子粉衣量が多いと、生育初期の茎数、乾物重が増加する傾向があった。草丈、葉令はやや増加する傾向が見られるものの判然としなかった。葉色には差が認められなかった。
試験2:1)湛水土中条播におけるシリカゲルの側条施用により初期茎数が増加する傾向が認められた。
以上の試験1、2の結果では、ケイ酸の側条施用より種子粉衣で初期生育に及ぼす効果が大きかった。
 
 
 
 

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