水田土壌における化学性の空間変動とその要因

○佐々木由佳1・石田 智之2・角田憲一1・安藤豊1 (1山形大学農学部 2香川大学農学部)

 
【目的】沖積水田土壌の粘土鉱物組成、粘土鉱物量、有機物量は上流地質、水田の存在する地形面の特徴、地形発達史に支配される。従って、粘土鉱物組成、粘土鉱物量、有機物量の空間変動、およびこれらに影響される土壌の化学性の空間変動は上流地質、水田の存在する地形面の特徴、地形発達史により決定されると考えられる。しかしながら、栽培条件が化学性の空間変動に与える影響も無視できないものと考えられる。そこで、沖積水田土壌の化学性の空間変動の特徴とその要因を検討した。

【方法】土壌:山形県鶴岡市の水田から0.5km四方の区画ごとに採取。測定項目:pH、CEC、全窒素量、リン酸吸収係数、可給態リン酸量、交換性陽イオン(Ca, Mg, Na, K)量、塩基飽和度。土壌クラスター:主成分分析をした土壌の化学性を非階層的クラスター分析により6グループに分けた。地形:GPSで標高差をキネマティック測量し、標高をもとに水系網を抽出して集水域を地形区分地域とした。空間変動:ジオスタティスティクスの手法により解析。

【結果】@各土壌クラスターは地形区分地域に対応して分布した。A化学性の変異係数(%)はpH;5.9、CEC;40.6、全窒素量;30.6、リン酸吸収係数;33.5、可給態リン酸量;50.0、Ca量;46.0、Mg量;74.2、Na量;62.2、K量;59.0、塩基飽和度;24.9であった。BCEC、全窒素量、リン酸吸収係数、Ca量、Mg量、Na量のセミバリオグラムは曲線モデルで回帰された。一方、pH、可給態リン酸量、K量、塩基飽和度のセミバリオグラムは球形モデルで回帰された。C曲線モデルで回帰された土壌の化学性は地形の特徴の影響を大きく受けるものであり、球形モデルで回帰された土壌の化学性は施肥管理の影響を大きく受けるものであると推測された。

 
 

講演要旨一覧に戻る

栽培土壌ホームページへ戻る