鶴岡市沖積水田における水稲初期生育と環境要因
佐々木由佳・早坂恵・石田 智之*1・川島茂人*2・角田憲一・安藤豊
  (*1香川大学農学部 *2農業環境技術研究所)


【目的】これまで、山形県鶴岡市沖積水田土壌で水稲の初期生育と環境条件の関係を明らかにするために、生育の圃場間差が生じる原因を土壌条件の違いから検討してきた。その結果、水稲初期茎数の圃場間差は土壌溶液中アンモニア態窒素量に支配されることが明らかになった。しかし、移植20日後の水稲茎数に対する土壌溶液中アンモニア態窒素量の寄与率は最大で41%であり、他の環境要因として気象条件の影響を検討する必要が考えられた。そこで、圃場間の水稲の初期生育の違いと気象条件との相互関係を検討した。

【方法】供試圃場:山形県鶴岡市内の水田5圃場。供試水稲品種:はえぬき。栽培方法:供試圃場の農家慣行。測定項目:水稲苗の発根力。水稲の茎数、草丈、乾物重。土壌中交換性アンモニア態窒素量。土壌溶液中アンモニア態窒素量。Davis社Vantage Proによる気温、湿度、風速、風向、降水量、日射量の連続測定。

【結果】@移植後40日間の水稲の茎数、草丈、乾物重の推移に圃場間差が認められ、これは土壌中交換性アンモニア態窒素量および土壌溶液中アンモニア態窒素量の影響を受けたものと考えられた。しかし、他の要因による影響も示唆された。A均質な水稲苗を用いて発根力調査を行い、移植7日後の新根数および最長新根長に圃場間差を認めた。Bこの水稲発根力の圃場間差には、移植10日後の土壌中交換性アンモニア態窒素量および土壌溶液中アンモニア態窒素量との関係が認められなかった。C移植後7日間の気象の経時的変化のうち、気温、湿度、風速には圃場間差が認められ、これが圃場間の水稲発根力に差を生じさせた要因であったと推測された。



 

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