シリカゲルの農業利用
第1報 肥効調節型肥料を用いた育苗箱全量施肥法の初期生育の改善
藤井弘志*・森 静香*・安藤 正*・安藤 豊(山形農試庄内支場)

【背景・目的】水稲の育苗箱全量施肥法は、@施肥の省力化A肥料窒素の利用率の向上等が図られ有用な技術である。しかし、使用している被覆尿素がシグモイド型であることから、初期茎数が不足して結果的に、籾数不足になる事例が報告されている。一方、演者らはシリカゲルの育苗箱施用によって苗質が向上し、初期茎数や籾数確保に有利であることを報告した。このことは、両技術を組合せることによって、初期生育を確保し収量向上につながる可能性を示している。そこで、この組合せ技術が生育・収量等に及ぼす影響について検討した。
【試験方法】供武士壌:沖積水田土壌(細粒強グライ土壌)、品種:はえぬき、試験区:@全層施肥区(以下、慣行)一基肥(60kgNha−1)+追肥(20kgNha−1)A育苗箱全量箱施肥区(以下、箱)一シグモイド型100日タイプ被覆尿素(箱当たり280gN、70kgNha−1相当)B育苗箱全量施肥+シリカゲル育苗箱施用区(以下、箱+シリカ)一A+シリカゲル(250g/箱、65kgha−1相当)、育苗様式:無加温ハウス育苗(25日苗)、調査一生育・収量構成要素・収量等、成分分析一窒素・ケイ酸


【試験結果】@収量:箱+シリカ(101)>慣行(100)>箱(96)。
Am2当たり籾数:慣行(100)=箱+シリカ(100)>箱(96)。千粒重に精玄米粒数歩合を乗じた値(yield potential):箱+シリカ(100)=慣行(100)>箱(99)0各区の収量の差は、主に、m2当たりの籾数の差であった。
B移植30日後の茎数および穂数は、それぞれ、慣行(100)>箱+シリカ(72)>箱(64)および慣行(100)>箱+シリカ(97)>箱(91)。シリカゲル施用によって初期茎数および穂数が増加した。

以上より、シリカゲルの育苗箱施用による苗質の向上等によって育苗箱全量施肥の短所である初期茎数・m2当たり籾数不足が改善され、慣行並みの収量の確保が可能であった。







 

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