栽培管理が水稲の収量および生育に及ぼす影響一中国杭州地区の事例−

 符建栄1、秋田幸司2,角田憲一2,安藤豊2
  (1中国折江省農業科学院、2山形大学農学部)

【目的】中国水稲栽培の施肥窒素量は全国的に多い。中国杭州地区の農家慣行施用量は150〜200kg/haに及ぶ。近年環境汚染が世界的に問題となっており、中国の施肥窒素量が多いことも環境負荷要因になりうる。そこで杭州地区に於ける施肥窒素量が環境問題を考慮した上で経済的に効果的なのかを検討する。


【材料・方法】栽培方法:中国漸江省杭州市で現地奨励品種を使用。2000年二期作期(8月1日〜11月13日)、2001年一期作期(5月15日〜7月27日)、2001年二期作期(7月31日〜11月10日)計3作行った。基肥施肥は移植2日前に全層施肥を行い、葉令5〜6・5の苗を移植。栽植密度は45株/m2、植え込み本数は5本/株。処理:基肥窒素レベル4段階:一期作:0,36,72,108kg/ha、二期作:0,45,90,135kg/ha。追肥窒素は移植後10〜14日目に分げつ肥、移植後40日目に穂肥を、それぞれ一期作期36kg/ha,12kg/ha、二期作期は45kg/ha,15kg/ha、基肥0区を除く区に同量施用。一期作の基肥108が現地農家慣行施用量、72が現地研究所奨励量。二期作では、基肥135が農家慣行量、90が現地研究所奨励量。

【結果】@施肥量が多くなるにつれて収量が増加した。A施肥効率(施肥窒素1kg当たりの増収量)は、一作期基肥36,72,10.8区ではそれぞれ15,11,10(kg/kgN)、二期作期45,90,13.5区では犯14,14であった。B杭州地区における目標収量は6t/haであり、施肥量100kg/ha程度で、目標収量に達した。C重窒素分析により求めた施肥窒素利用率は施肥量が多くなるにつれて低下する傾向にあった。D植物体に吸収されなかった施肥窒素を未回収施肥窒素とし、未回収量と基肥施肥窒素量の関係を見ると、施肥量が多くなるにつれ未回収量も増加した。その量は施肥窒素量の60〜90%にも及んだ。







 

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