イネ苗イモチのケイ酸資材シリカゲル育苗土混和による発病抑制
    
早坂剛・藤井弘志・安藤豊・生井恒雄

日本植物病理学会会報 66-1、18-22 (2000)
 

摘要

 化学合成農薬の使用料を減らしたイネいもち病防除法を開発するために、本病の第一次伝染源として重要な苗イモチの発生に及ぼすケイ酸資材としてのシリカゲルの効果を検討した。シリカゲル250〜1000gを育苗土300gに混和し、本病自然感染籾を播種し、育苗期の苗イモチの発生と苗のケイ酸含有率の関係を調査した。その結果、シリカゲル施用により苗イモチ発生は無施用区と比較し著しく抑制された。苗のケイ酸含有率は播種5日後から対照区に比べて有意に高くなり、7日後には500g施用区では対照区の2.37倍になった。また、既存の3種のケイ酸資材を施用し、苗のケイ酸含有率、窒素含有率および土壌のpHの変化を比較検討した結果、ケイ酸含有率はシリカゲル施用区でもっとも高くなったが、窒素含有率は資材間で差が認められなかった。土壌pHはシリカゲル以外の資材施用では、いずれもイネの育苗に不適当なpH範囲まで上昇した。これらのことから、シリカゲルの施用は育苗土のpHを変化させずに育苗初期から苗のケイ酸含有率を高め、苗イモチの発生を抑制できる有効な手法であることが明かとなった。
 

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