幼穂形成期の追肥窒素量の違いが登熟期間の光合成や根の活性に及ぼす影響

松田裕之・森静香・藤井弘志・安藤豊・横山克至・小南力

日本土壌肥料学雑誌 72-5, 667-672 (2001)   
 
 

 精米中のタンパク質含有率は、穎花生産効率と精米一粒重に左右される。そこで、精米一粒重に影響する登熟期間の見かけの光合成速度と根の溢液速度に注目し、それらと幼穂形成期の窒素追肥量の関係を検討した。得られた結果の概要は以下のとおりである。

 1)幼穂形成期の追肥窒素量と平方メートル当たり穎花数、利用窒素量および精米中のタンパク質含有率には正の相関が認められた。
 2)追肥窒素量と登熟期間の葉緑素計値および葉身窒素濃度計値には正の関係が認められた。一方、見かけの光合成速度ととは明確な関係が認められなかった。
 3)追肥窒素量と稲体基部からの溢液速度には、登熟初期では明瞭な差が認められず、登熟後期には負の関係が認められた。
 4)追肥窒素量が増加すると、登熟期間における稲体下部の光量子は減少した。
 
 

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