日本土壌肥料学雑誌 61-5, 466-471 (1990)
キーワード:水田土壌、下層土、無機化、速度論的解析
山形県庄内地域の水田土壌下層土における地力窒素の無機化について、自然変温条件下で速度論的解析を行った。そして、下層土の無機化特性値と作土のそれを比較した。なお、使用した無機化モデルは作土の無機化モデルである負の項のある2項モデルである。
1)負の項のある2項モデルは分散が小さく下層土の地力窒素の無機化によく適合した。
2)地力窒素の無機化特性値のうち速度定数は、正の項では、0.004/d前後で一定であり、負の項は0.01〜0.02/dで
あった。活性化エネルギー、可分解性有機態窒素量は一定の傾向が見られなかった。
3)下層土と作土における地力窒素の無機化特性値を比較すると、速度定数は正の項、負の項ともに、作土>下層
土であり、可分解性有機態窒素量および正の項の活性化エネルギーは、大部分の土壌で下層土>作土であっ
た。
4)水稲生育後期に吸収される地力窒素に対して、下層土から無機化された窒素も一定の役割を果たしているものと
見られた。