水稲の穂首分化期における被覆尿素追肥が生育・収量に及ぼす影響      

中西政則・田中伸幸・安藤豊        

日本作物学会紀事  59-2, 265-269 (1990)  

キーワード:緩効性肥料、N吸収パターン、N利用率
 

水稲に対する北微分下記の被覆尿素追肥の影響を窒素(N)吸収経過、収量の面から慣行追肥と比較検討した。
1)被覆尿素由来Nは成熟期まで水稲に吸収された。被覆尿素の水稲による利用率は約65〜70%であり、慣行追肥(硫安)のそれは約40〜60%であった。また、被覆尿素の累積溶出量に対する利用率は、198、,'87年の平均で見ると、穎花文化期は41%、穂ばらみ期は54%であり、穂揃期以降は74〜80%と穂揃期以降の利用率が高い傾向がみられた。
2)被覆尿素区の上位葉身長、幹長は対照区(慣行追肥区)のそれとほぼ同じであった。これは被覆尿素区のN吸収が緩慢であるため、穂首分化期の追肥でも、葉身長、幹長の伸長にはあまり影響しなかったためと見られた。
3)被覆尿素区の収量は対照区に比較して7〜13%の増収となった、これは、穂揃期以降も追肥Nの吸収が持続され、葉身のN濃度が対照区より高く、登熟歩合を高めたためと見られた。

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