藤井弘志・安藤豊・佐藤之信・中西政則
日本土壌肥料学雑誌 63-1, 58-63 (1992)
キーワード:速度論的解析、無機化、穂数、登熟
山形県庄内地域の水田土壌の作土と下層土のN0を簡易分析法により求め、水稲の生育・収量の関係を検討した。さらに、N0の分布図を作成した。得られた結果は以下のとおりである。
1)作土のN0は8.7〜21.6mg/100gで、平均は14.4mg/100gであった、一方、下層土のそれは、2.5〜14.8mg/100gであ り、平均5.7mg/100gであった。
2)N0が作土で15mg/100g、下層土で6mg/100gまではN0の増加につれて収量が増加した。最高茎数がほぼ同一条 件の圃場での下層土のN0と有効茎歩合の間にには正の相関関係が認められた。さらに、穂数がほぼ同一条件 の時の一穂粒数と、作土と下層土のN0の合計との間には正の相関関係が認められた。また、N0(作土+下層土) が大きいほど登熟歩合が高まった。
3)N0の大小による区部別分布面積と収量レベル別分布面積の間には、一定の関係が認められた。