水稲の窒素吸収量からみた籾生産効率と精米中のタンパク質含有率の関係

松田裕之・藤井弘志・柴田康志・小南力・長谷川・大淵光一・安藤豊

日本土壌肥料学雑誌 68-5, 501-507 (1997)
 

キーワード  窒素吸収量、籾生産効率、精米中のタンパク質含有率、品種
 

要約
  1990年〜1993年に、庄内支場および庄内地域現地圃場で、はえぬきとササニシキを用いて精米中のタンパク質含有率に与える影響を、籾生産効率、一籾当たり窒素量および品種の差異の点から検討した。得られた結果の概要は以下のとおりである。
1)両品種に共通する特徴として、穂揃い期の窒素吸収量と籾生産効率には負の相関が、穂揃い期の窒素吸収量と一籾当たり窒素量には正の相関が認められた。また、穂揃い期の一籾当たり窒素量と精米中のタンパク 質含有率には正の相関が認められた。このことは、籾生産効率が精米中のタンパク質含有率に大きく影響していることを示している。
2)はえぬきはササニシキと比較すると、穂揃い期の同一レベルの窒素吸収量における籾生産効率が低く、一籾当たり窒素量が多い。また、一穂籾数の変動幅は、はえぬきが60?70粒の範囲に約80%、ササニシキが55 ?80粒の範囲に約80%である。したがって、平方メートル当たり籾数の多少は、はえぬきでは穂数が、ササニシキでは 穂数と一穂籾数に影響されている。このことは、品種の籾生産効率の差異が精米中のタンパク質含有率に影響していることを示している。
3)倒伏程度が3以上となる試料は、はえぬきでは認め られない。一方、ササニシキでは全体の約36%を占め、その試料の精米中のタンパク質含有率はすべて8%を越えていた。このことは、品種の耐倒伏性の強弱が 精米中のタンパク質含有率に影響していることを示している。

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