水田土壌の風乾処理とバイオマス窒素の無機化
 

丸本卓哉・安藤豊・和田源七
 

日本土壌肥料学誌 68-4, 376-380 (1997)
 
 

要約

東北地方の水田土壌の風乾処理によって無機化が促進される窒素と微生物バイオマス窒素の関係を関する実験を行い、以下の結果を得た。
1)いずれの水田土壌とも、風乾処理とそれに続く湛水培養期間に無機化される窒素量は増加する傾向を示した。窒素無機か量は風乾期間別に見ると、風乾1週間と2週間の無機化量の差が大きかった。また、培養2週間で窒素無機か量はほぼピークに達した。
2)風乾に伴ってバイオマス炭素、窒素ともに急激に減少したが、バイオマス窒素と炭素の現象パターンは若干異なる傾向を示した。バイオマス窒素の減少率は、3日間風乾で約28%、1週間風乾で約76%、2週間風乾で約82%であった。
3)風乾処理の過程で土壌中に増加した可溶性有機物は、風乾中に死滅した細菌バイオマスに由来することが示唆された。
4)風乾処理によって死滅したバイオマス窒素とその後の湛水2週間に無機化された窒素との間には極めて高い相関が認められたが、風乾後湛水土壌から無機化される全窒素量は死滅バイオマス窒素量の2〜5倍量に達することが示され、乾土効果に対するバイオマスの窒素の寄与率は約20〜48%の範囲であり、畑土壌で言われている45〜50%に比べて低いことが示された。
 

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