不耕起移植水稲の初期生育と登熟期の特徴について

安藤豊・小南力・藤井弘志・岡田佳菜子

キーワード:水稲、不耕起移植、窒素吸収、みかけの光合成速度、土壌硬度

要約
  水稲の不耕起移植栽培を1988年から継続した圃場で不耕起移植水稲の生育特性を検討した。生育初期は基肥窒素の吸収パターン、分げつの推移を、生育中後期には追肥窒素の吸収速度、みかけの光合成速度及び出液速度を耕起移植栽培と比較した。得られた結果は以下のとおりである。
1)不耕起移植栽培の水稲は耕起移植栽培に比べて初期生育が不良であった。これを詳細にみると、移植直後から分げつの発生開始直後までは両栽培法に差が認められなかったが、6月中旬から差が生じた。基肥窒素の吸収も同様の傾向が認められ、6月上旬までは両区に差が認められなく、中旬以降不耕起移植栽培で基肥窒素の吸収が認められなかった。基肥窒素の利用率は耕起移植栽培で不耕起移植栽培の約2倍となった。
2)ポット試験で土壌硬度と水稲の地上部乾物重、地下部乾物重及び窒素吸収量の間には負の直線関係が認められた。
3)追肥窒素の吸収速度は生育中期以降いずれの時期でも不耕起移植栽培で耕起移植栽培より大きな値となった。登熟期のみかけの光合成速度は不耕起移植栽培で大きく、特に午後のみかけの光合成速度の差が大きくなった。また、出液速度は不耕起移植栽培で常に耕起移植栽培を上回った。
 

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