追肥時期および遮光処理による穎花生産効率の変化とそれが精米中のタンパク質含有率に及ぼす影響
 
藤井弘志・安藤豊・松田裕之・柴田康志・森静香・小南力・長谷川愿

日本土壌肥料学雑誌 69-5, 463-469 (1998) 
 

要約

 穎花生産効率の変動と栽培環境との関係を明らかにするため、穂肥窒素の施用時期および遮光処理試験を行い、穎花生産効率の変動とそれら処理による精米中のタンパク質含有率について検討した。
 1) 分化穎花数は、窒素の追肥時期および遮光条件による区間の差は小さかった。一方、退化穎花数は、窒素の追肥時期が出穂期に近いほど、または遮光率が高まるほど増加した。
 2) 穂揃期の窒素吸収量から見た穎花生産効率は、窒素の追肥時期が出穂期に近いほど低く、また、遮光率が高いほど低かった。
 3) 窒素の追肥時期が出穂期に近いほど、精米中のタンパク質含有率が増加するのは、従来から指摘されている施肥した窒素の成熟期に於ける穂への分配率が高まることと穎花生産効率が低下したことが影響していると推定した。
 4) 幼穂形成期から穂揃期までの遮光処理によって精米中のタンパク質含有率が増加するのは、穎花生産効率の低下と穂揃期における蓄積炭水化物量の減少により、千粒重を低下させたことが影響していると推定した。
 

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