シリカゲルの苗箱施用が水稲苗の活着および初期生育に及ぼす影響
 
藤井弘志・早坂剛・横山克至・安藤豊

日本土壌肥料学雑誌 70-6 ,785-790 (1999)
 

床土のpHを上げないでケイ酸の供給が可能な資材としてシリカゲルに着目し、苗質の向上(充実度、発根力)、活着および初期生育の確保に対するシリカゲルの苗箱施用の効果について検討した。
1)苗の乾物重、充実度およびケイ酸含有率はシリカゲル施用区で無施用区に比べて高くなった。苗質の向上する要因として、シリカゲルの施用によりケイ酸吸収量が高まり、気孔が解放して見かけの光合成速度が高まったことと、葉身の直立度の向上による光の透過率が高まったことが上げられる。
2)せん根処理した苗の発根数および発根力はシリカゲル施与委苦で無施用区に比べて高くなった。苗の発根力が高まった理由としては、シリカゲルの施用により苗の見かけの光合成速度が高まり苗中のTAC含量が高まったことによると考えられた。
3)シリカゲルの施用が水稲の初期生育に及ぼす効果は茎数を確保するだけでなく。ケイ酸吸収量が多くなることから見かけの光合成速度の向上により乾物生産量が多くなり、Soil Sci. Plant Nutr.,茎当たりの乾物重の大きい茎の確保につながっていると考えられた。
4)以上より、シリカゲルの苗箱施用は、苗質の向上、水稲の初期茎数の確保および茎質の向上に対して、極めて有用な技術であることが認められた。苗質向上に対する効率的なシリカゲルの施用量は、1箱当たり250g程度であると考えられた。
 

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