移植時期の違いが水稲の頴果生産に及ぼす影響

鈴木 和美 
      
地球規模の温暖化は、農業生態系に大きな影響を及ぼすことが予想されている。水稲生育における温度上昇は地上部生育を短期間で著しく促進させ、栽培可能期間の拡大などといった好ましい影響をもたらす。一方、施肥窒素に対する頴果生産の低下が指摘され、安定的な生産量を得る上で重要な課題となっている。頴果数が減少する原因のひとつとして栄養生長期間の短縮による窒素吸収量の減少が考えられている。しかし、栄養生長期間内で温度変化により窒素吸収パターンは変動することも予想され、単に栄養生長期間が短いといった問題ではないと考えられる。本研究では、生育期間の温度変化が窒素吸収量に与える経時的変化を調査し、頴果生産に与える影響を検討した。

【材料及び方法】 供試圃場 鶴岡市井の岡水田。供試品種 はえぬき。栽培方法 基肥P2O5:K2O=6:6kg/10a 、その他は農家慣行に従う。処理区 温度変化区 5、6月移植区 施肥量変化区2、4、6、8kg/10a(全部で8処理区)。調査項目 現存頴果数、植物体窒素吸収量、植物体窒素含有率

【結果】@頴果分化期窒素吸収量と頴果数との間には正の相関関係があった。A吸収窒素量と頴果数に相関関係はあるが、6月移植区は吸収窒素に対する頴果生産効率が低下し、頴果数が減少した。B5月移植区と比べ6月移植区では、1日あたりの窒素吸収量は分げつ最盛期まで高いが頴果分化期には低くなった。




 

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