利水施設
利水施設とは、人々が平等にかつ広域的に水を使用するための施設です。
ここでは、庄内で見られる利水施設を紹介します。



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頭首工

 農業用水を河川から取水するために古くから発達した施設である。
 頭首工という用語は、明治末期以来用いられてきており、用水路の頭首部(head)に設けられる水文、堰堤などの施設の総称である。
 我が国の河川は、短く急こう配であり、構造物の設置条件としては厳しいものがある。
 頭首工の設置にあたっては、まず灌漑計画から要求される水位、水量等の緒元を確認すると共に、詳細な調査を実施して設計条件を明らかにし、 頭首工全体の基本設計を行い、次いで頭首工の構成各部の設計を行う。
   頭首工は、河川の流水を用水路に引き入れるための施設である。この場合の河川には湖沼は含まれるが、貯水池は含まれない。
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ラバーダム(ゴム堰)

 河川を横断して設置される堰は、構造的にはコンクリートの固定堰や鋼製ゲートによる可動堰が一般的であった。
 ゴム(ゴム引き布)製起伏堰(ラバー堰・ゴム堰)は、空気または水を注入することによって膨張させることのできる堰である。
断面形状は円形のゴムチューブ状で、灌漑用、防潮、下水道の流量調整、水門、リクリエーション施設等に用いられている、 その特徴である流水疎通の確実性、施設の容易性と工期の短縮、維持管理の容易性、建設費の低廉性などのため、設置例も多い。
 最上川にあるさみだれ大堰は、ラバーダムとしては日本最大級の規模である。

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円筒分水工

 水路内を流下する流量を一定の比率で配分する方式である。この定比分水工の代表的な形式として円筒分水工がある。
 流量調節は簡単に行えないが、水路を流下してきた水量を一定の比率に配分するという機能となっており、水田を対象とした水路にて発達した施設である。
 もう一つ優れた機能として、定比分水のため、分水量の割合が視認できることを挙げておく。
  水争いの絶えなかった我が国において、誰が見ても比率が分かるというのは農家あるいは集落間での調整合意の上で非常に重要である。
 円筒分水工を見る度に、単なる構造物としてではなく、平和的な調整を求めた古人らが偲ばれる。

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