研究ノート

1.高校生の皆さんへ
 本研究室の分野は,従来の「農業土木」の中の「農業水利学」を基礎にしています.「農業水利学」とは,適切な用水と排水を行うために,水の流れを解明し,水の使い方を考え,水利施設を計画する分野です.本研究室では,それに加えて,「土木」分野の河川,特に河川環境を研究の対象にしています.
 最近では,河川や水田生態系との関わりの深い領域での研究が多くなっています.最終的な目標は,つきなみな言い方ですが,自然と共生できる利水施設や治水や利水などの計画にあります.それに至るための研究・教育を行っています.
 従って,
数学・物理学そして生物学・化学の知識(考え方)があれば,卒業論文などでの選択の領域が大きく広がることになります.近年の傾向として,数学や物理学を履修する人は少ないですが,環境を理解するには大事な知見です.また,欧米の論文を読むことが多いので,英語の勉強も必要でしょう.更に,水の利用については社会・経済学的な知見も必要な領域です.
 自分は何が好きか迷ったら,ちょっと童心に返って子供の頃を想い出してみてください.(大久保)

2.山形の渓流は美しい:高校生の皆さんへ(追加)
 本ホームページで一部紹介したように,山形の山地渓流はとても美しい別天地です.これらは日本の大きな財産です.一方で,多くの渓流は「危険渓流」に指定された渓流でもあります.治水の面と,自然保護の面を調和させることが出来るのは「新たな技術」しかないと考えています.本研究室で,いっしょに野山を駆け巡り調査し,共に研究しませんか.楽しいよ.

3.山大農学部には広大な演習林とそこを流れる早田川があります.
 
農学部から車でわずか30分程度のところに演習林があります.何年か前に水生昆虫のDrift(流下)の調査は夜中に行ないました.48時間の連続調査です.演習林の宿泊施設に泊まって,交代でやるのです.きついけどきつくない.こんなことが出来るのは宿泊所の前が早田川だからです.研究のフィールドとして最高です.
 夏には実習で,ザックを背負って,川を渡り,泳ぎ(ザックは浮き袋),渓流を歩きます.春には,カタクリ・キクザキイチゲ・エンレイソウ・オオバキスミレが,秋には,アキノウナギツカミ・ツリフネソウ・ミゾソバ・オトコエシ・ママコノシリヌグイ・ダイモンジソウなどなど咲き乱れます.山菜も豊富です.コゴミ・トリアシショウマ・ウド・イワダラなどなど,本格的調査の前の巡検でラーメンに入れたり,ゆでて食べます.
 早田川は美しい渓流ですが,2005年の出水では,河床が2m近く洗掘されて下がったり,流れが変わったり,淵が埋まってしまいました.あらためて「自然」を感じることができました.
 興味や好奇心があると,研究のテーマは次々とでてきます.そして,勉強が楽しくなります.