乾燥期間が土壌有機態窒素の無機化、水稲の窒素吸収に及ぼす影響について
 
安藤豊・丸本卓哉・和田源七・中村勤

日本土壌肥料学雑誌 66-5, 499-505 (1995)

キーワード:乾燥期間、水稲、、窒素吸収、有機態窒素の無機化

要約
  熱帯の水田土壌と温帯の沖積、火山灰由来水田土壌を用いて水分含有率および風乾後の期間と土壌窒素の無機化量、水稲の窒素吸収の関係を検討した。得られた結果の大要は以下の通りである。
  1.乾燥処理により土壌の含水比がほぼ一定になるまでは、含水比の減少に伴って土壌有機態窒素の無機化量が増加した。また、水分条件が一定になった後、乾燥期間を延長すると水田が存在する熱帯、温帯の気象条件や母材の違いに関わらず土壌有機態窒素の無機化量が増加した。しかし、乾燥期間と土壌有機態窒素の無機化量の関係は土壌によって異なった。
  2.乾燥期間が異なる土壌での水稲の窒素吸収量は、乾燥期間が6週目までは培養実験の結果と対応し、乾燥期間の延長に伴い水稲の窒素吸収量が増加した。8週間乾燥した土壌では水稲の乾物重は乾燥処理をした土壌の中ではもっとも少なかった。しかし、移植後6から7週目にかけて8週間乾燥処理をした土壌で栽培した水稲の窒素吸収速度はもっとも大きくなった。
  3.乾燥処理に伴う土壌有機態窒素の無機化量の増加は培養(30℃)の初期にみられた。また、水稲の窒素吸収量に対する乾燥期間の影響は移植後(湛水後)5週間程度(28/30℃条件)であった。

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