受験生の皆様へ

 現在大学受験を控える受験生の皆様,また,受験生をお持ちの保護者の皆様,山形大学農学部野菜園芸学研究室のホームページにお越し頂き,有り難うございます.このページでは,大学受験を控える皆様向けに山形(鶴岡)での生活の様子をご紹介したいと思います.
 先ず,私達の農学部キャンパスは,山形県鶴岡市にあります.山形大学では,どの学部に入学しても,1年生の授業(基盤教育と呼びます)は全員が山形市内にある「小白川(こしらかわ)キャンパス」で受けます.小白川キャンパスには「人文学部」,「地域教育文化学部」,「理学部」の3つの学部があり,この3学部に入学した人は,そのまま同じキャンパスで4年生まで勉強することになります.
 医学部は同じ山形市内ですが,「飯田地区」という所にあり,このキャンパスは「飯田キャンパス」と呼ばれています.工学部は上杉鷹山で有名な「米沢市」にあり,多くの学生は2年生から米沢市に引っ越します.
 
 さて,農学部のある「鶴岡キャンパス」ですが,「小白川キャンパス」からは90 kmくらい離れています.山形〜鶴岡の間は「月山道」と呼ばれる高速道路(一部は自動車専用道路)が完成し,以前に比べると随分便利になりましたが,それでも山形と鶴岡の間には「月山」という山形の名峰が聳えているため,この山を越えないと鶴岡に辿り着くことが出来ません.高速バス(片道2400円)を利用すると,2時間近くかかります.
 また,月山は「豪雪地帯」でも有名で,夏はまだしも,冬季に月山を越えるのはかなりスリリングです.特にこの地方特有の「地吹雪」という悪天候に出くわすと,目の前が真っ白になる「ホワイトアウト」現象が起こるため,月山道を越えるのは至難の業となります.関東・東海地方のように,殆ど雪の降らない場所から来た人は,きっと余りの雪のすごさに驚くと思います.

冬の月山道(月山道は庄内と山形市を結ぶ大動脈で,年間を通じて通ることが出来ます)

 このように「月山」は村山と庄内(山形県民は山形市のある地方を「村山」,鶴岡市や酒田市のある地方を「庄内」と呼び,明確に区別しています)の間に立ちはだかる物理的に大きな壁なのですが,農学部学生にとっては,月山よりも大きな「進級の壁」があります.と,言うのは,先に紹介したとおり,1年生の授業の多くは「基盤教育」という授業ですが,農学部では,「農学入門」,「農学最前線」,「食料生命環境学概論」,「各コース概論」といった一部の専門科目を1年生向けに小白川キャンパスで開講しています.これらの科目の多くは「必修科目」に指定されているので,これらの科目の単位が取れないと,2年生になれない,つまり,鶴岡キャンパスに移行することが出来ません.ですから,1年生の授業は,月山を越えられるかどうかの最初の壁と言って良いと思います.
 こう書くと,月山道が物理的にも精神的にも「危険な道路」のように思えるかも知れませんが,決してそれだけではなく,四季折々の月山道の姿は本当に綺麗です.秋の行楽シーズンには県外からも大勢の観光客が紅葉狩りに訪れます.更に,月山が余りに豪雪なため,「春になってからオープン」するスキー場もあり,夏スキーが楽しめます.勿論鶴岡市は日本海側にありますから,夏の海水浴や釣り,豊富な山菜料理,いたる所にある温泉など,鶴岡ならではの楽しみも味わうことが出来ます.ですから,私達は農学部に入学した全ての学生が,小白川での1年間の勉強を終え,晴れて4月には月山道を越えて鶴岡キャンパスに移行してきてくれることを願っています.

秋の月山 庄内平野から見た春の月山
秋の月山 秋田県側から見た5月の鳥海山   遊佐町から見た4月の鳥海山

 さて,「庄内」は行政区画ではありませんが,江戸時代の庄内藩(藤沢周平の小説に出てくる海坂藩)が母本となっているため,今でも車のナンバーは「庄内33 ○○-○○」とか,「庄内支庁(山形県庁の出先機関)」,「庄内みどり農協」,「庄内空港」(山形県には空港が2つあり,)こちらは山形空港とは別の空港です)など,至る所で,「庄内」の名前が使われています.
 同じ山形県内に住んでいても,庄内と内陸(庄内の人は,月山の向こう側をこう呼んでいます)とでは,かなり方言が違います.藤沢周平の時代劇映画でよく出てくる「○○○でがんすの〜〜」のような台詞は庄内特有の使い方です.

 この他にも庄内には,秋田県と県境を接する「鳥海山」,室町時代に最初に建てられ,昭和41年に国宝に指定された「羽黒山五重塔」,山岳修験の道場として名高い「出羽三山神社三神号祭殿」,おしんの舞台にもなった「山居倉庫」と「最上川」など,歴史的に価値のある建物や自然も数多く残されています.

 羽黒山五重塔  羽黒山の石段 出羽三山神社三神号祭殿
最上川 蕎 麦

 さらに,庄内はグルメでも有名で,蕎麦や麦きり(分かり易く言えばウドンですが,普通のウドンに比べると腰が強く,独特の食感があります),ラーメンや海産物など,多くの食材に恵まれています.
 こうした伝統・文化に彩られた庄内地方には,その地域固有の食材である「在来作物」も多く残されています.その中でも特に有名なのが「ダダチャ豆」です.私達の研究室では,こうした貴重な遺伝資源である地域在来作物の研究を通じて,少しでも地域のお役に立てればと考えています.
 受験生の皆様におかれましては,こうした自然と伝統・文化に育まれた庄内地方にある農学部に入学して頂き,私達と共に充実した4年間を過ごして頂ければと思います.

 なお,野菜園芸学研究室の様子は,「1・2年生の皆様へ」を参考にして下さい.

★発展途上国との国際共同研究に興味のある方は,トップページの共同研究(Collaboration)を参照して下さい.