研究内容 私たちの研究室では、コムギとその近縁野生種やベニバナを主な材料としています。また、これ以外にも、トウガラシなど他の植物の研究も行っています。
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コムギの起源と多様性に関する研究 コムギは、世界中の人々の主食となる重要作物ですが、その起源や進化の過程には、不明な点が数多く残されています。これを解明することは、人類の命の源を知ることであり、また、原種をたどることで新たなコムギ育種へもつながります。また、コムギには、様々な品種がありますが、いろいろな品種で重要遺伝子の型を調べることにより、品種の特性が明らかになります。また、新しい遺伝子型が見つかれば、新品種を作るための育種材料になります。私たちは、様々な栽培・野生のコムギを集め、パン生地に影響するグルテニン遺伝子やSSR配列などのDNA解析により、コムギの起源と多様性の解明を進めています。(このページのトップへ→)
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コムギ近縁種の倍数化に関する進化学的研究 コムギは作物としても重要ですが、進化学的にも重要な研究対象です。植物の多くは、染色体の数が倍化する倍数性をもつことにより、進化してきました。その中でも、コムギの仲間は特に倍数性の研究が進んでいます。コムギの進化には、コムギ属とエギロプス属が関わっており、私たちは現在Uゲノムをもつ倍数性エギロプスに注目し、DNAの解析から倍数性の進化過程と種分化機構を解明する研究を進めています。なおコムギの進化の詳細は、こちらをご参考下さい。(このページのトップへ→)
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日本在来野生ムギ類の多様性解析と耐湿性コムギ育種に向けた研究 コムギやオオムギは、乾燥地域に起源をもつため、日本のような湿潤な気候には適していません。しかし、日本在来の野生ムギ類は、湿潤な気候に適応しており、これらの種の耐湿性機構が解明されれば、耐湿性コムギの育種により、国内のコムギ生産量増加につながると期待されます。 代表的な在来野生ムギ類がカモジグサ類で、その中でも私たちは、ミズタカモジに注目しています。この種は、水田に適応した強い耐湿性をもつ種ですが、環境の変化により個体数が減少し、現在は絶滅危惧種です。私たちは、この貴重な種の多様性を解明し種の保全につなげ、さらに育種利用することを目指しています。(このページのトップへ→)
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ベニバナの進化と多様性に関する研究 ベニバナは、世界的に重要な油料・染料作物です。ベニバナが属するベニバナ属には多くの野生種が存在しますが、栽培種の祖先を含め、その進化過程はよくわかっていません。私たちは、DNA解析により、ベニバナ属の系統進化の解明を進めており、現在までに、これまでの定説とは異なる進化過程を明らかにしています。その成果は、08年10月4日の山形新聞に掲載されました。 また、ベニバナは、山形県の県花としても有名です。山形県で栽培される品種は、「最上紅花(もがみべにばな)」という在来品種です。私たちは、最上紅花の遺伝的特徴をDNAレベルで解明することにより、紅花の来た道の解明や、新品種の育種、最上紅花のDNA鑑定法の確立を目指しています。(このページのトップへ→)
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トウガラシの重要遺伝子に関する研究 トウガラシは、南米起源のナス科の作物の一つで、香辛料の原料として世界的に重要ですが、辛味のないピーマンや、様々な色のパプリカもトウガラシの品種の一つです。私たちは、トウガラシ育種の重要ターゲットの一つである果実色を決める遺伝子について、様々な品種で遺伝子型を調査し、新たな育種素材の発見や、育種選抜マーカーの作成を目指しています。(このページのトップへ→)
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