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研究紹介

#01 DNA解析で紅花や青苧の起源を探る

准教授 笹沼 恒男 (植物遺伝・育種学)

 DNAは生物の特徴を決める遺伝情報の本体であり、同じ生物種でも品種や系統ごとに少しずつ違います。この違いを調べることで、近縁関係がわかるのです。私たちは、DNA解析により、様々な作物の起源の解明や育種に役立つ有用遺伝子の探索を行っています。

 山形の県花である紅花の研究では、世界各地の紅花のDNAを調べることで、栽培紅花の祖先が中近東に自生する野生種であることや、山形の「最上紅花」の伝来ルートが、シルクロードを通り朝鮮半島経由であったことを明らかにしました。紅花と並ぶ山形の二大伝統作物である青苧(アオソ)についても大江町の青苧復活夢見隊と共同研究を行っており、町内にDNAレベルで異なる複数タイプが存在すること、大江町の青苧が福島県奥会津地方のものと同じ起源をもつ可能性があることなどがわかりました。

 その他、野生ベニバナやコムギを対象とした海外での探索調査も行っており、これらの研究を通じ、地域社会と世界の両方に貢献することを目指しています。

   
▲カスピ海沿岸のコーカサス地方の調査で見られた野生のベニバナ(左)と大江町歴史民族資料館で青苧のDNA解析についての講演の様子(右)