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第9回記者懇談会を開催しました

山形大学農学部では、年に数回、記者懇談会を開催しています。
12月22日(火)に、令和2年度第9回目の懇談会を開催しました。発表内容は以下のとおりです。


「食害されたイネでつくられる新規防御物質の解明」

 山形大学農学部 准教授 網干 貴子(生物有機化学)


【概要】

 山形大学農学部 網干貴子准教授の研究グループ(岡山大学、京都大学、鳥取大学との共同)は、昆虫に食害されたイネの食害部位にイソペンチルアミンが蓄積していることを世界で初めて発見しました。

 植物は昆虫から食害されると、身を守るための防御応答をおこしますが、植物中には膨大な代謝物が含まれているため、防御応答に関与する物質の全貌が明らかになっていません。
 本研究では、昆虫に食害されたイネの葉でイソペンチルアミンの蓄積量が増加することを明らかにしました。また、植物ホルモンの1つであるジャスモン酸をイネにスプレーすると同様の反応が起き、ジャスモン酸の生合成が正常に行われない変異体のイネでは、イソペンチルアミンが蓄積されないことから、イソペンチルアミンの生合成はジャスモン酸により活性化されることが分かりました。

  この物質をトビイロウンカ(イネの害虫)に与えると致死率が増加することから、防御物質として機能することが考えられます。今後、イソペンチルアミンの生合成に関する遺伝子の特定を進めることで、食害されにくいイネの品種開発への貢献が期待されます。

     
  ▲網干 貴子准教授    

 

■掲載日:2020.12.24