文字サイズ

生産機械学研究室の大学院生が農業食科工学会東北支部大会で学生会員奨励賞を受賞

 岩手大学大学院連合農学研究科(山形大学・生産機械学研究室所属 )森 智洋さんが、2021年8月26日(木)にオンライン開催された「令和3年度農業食科工学会東北支部大会研究発表会」において、学生会員奨励賞を受賞しました。本大会において3年連続での受賞となります。今回の受賞は、今後の活躍が期待される優れた発表内容であるとして、発表会参加者による投票により決定されました。
おめでとうございます!

◆発表題目
「エダマメ外観品質分類用の物体検出AI作成におけるアノテーション範囲の決定方法の確立」

«森 智洋さん受賞コメント»

 この度、光栄なことに農業食料工学会東北支部大会(オンライン)で学生会員奨励賞を頂きました。本研究をご指導頂きました片平光彦教授や本研究に携わった株式会社ViAR&Eの市浦茂様、そして本研究を補助してくださった生産機械学研究室の皆様には感謝の気持ちでいっぱいです。 この場をお借りして、改めてお礼を申し上げます。
 本研究では、高精度なエダマメ外観精選別用の物体検出AI(以下、AI)を作成する際に、どのようにデータの前処理(アノテーション)を行うことでAIの精度が向上するか調査しました。物体検出AIとは、画像や動画の中から「どこに、何が」あるのか見つけ出すAIです。AIは、私たちがAIに見つけて分類してもらいたい対象物が写っている画像や動画を準備し、ディープラーニングと呼ばれる技術を用いて作成されます。現在エダマメ精選別作業のほとんどが人手により行われているため機械化が望まれていますが、そのためには高精度な精選別機が必要になります。そのような精選別機の作成にはエダマメを見つけて外観品質を分類するソフトウェアが必要であり、こうしたAIの開発は必須となります。
 ディープラーニングで物体検出AIを作成する際、AIを作成するために使用する画像や動画に対して「どこに、何があるのか」という正解情報を付与していき、これを「アノテーション」と呼びます。エダマメの外観精選別用のAIであれば、画像に写っているエダマメの位置を四角形の枠で囲い、それに外観品質の正解情報を付与していきます。アノテーションはディープラーニングでAIに学習してもらいたいことを教える作業であり、アノテーションの内容がAIの精度を変化させる要因になりえます。AI作成ではほとんどの場合に必ず行うアノテーションですが、対象物のどこを囲むべきか調べた事例はほとんどありません。AIは100パーセントの精度でエダマメを検出して外観品質を分類できるとは限りませんが、より高い精度のAIを作成するにはアノテーションも重要と考えました。本研究では最適なアノテーション範囲を決定する方法を考案して実際にAIを作成し、AIの精度向上を確認しました。
 私は現在の研究でより精度の高いAIを作成するための方法を確立してAI作成の体系をつくり、今後このようなAIを作成する方々へ役立て、最終的にはAIの社会実装を促して社会の様々な問題解決に繋げていきたいと考えています。

       
 ▲森 智洋さん(左)と授与された賞状(右)  

 

■掲載日:2021.10.13