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令和3年度ウインタースクールを開催しました

 令和3年度⾷-農-環境連携を担うグローバル⼈材育成事業の⼀環として、2022年2⽉24⽇(木)から3⽉11⽇(金)まで16日間「ウインタースクール」をオンラインで開催しました。
 今回のウィンタースクールには、ドイツ、中国、ベトナム、ペルー、ベナンの大学から学生60名が参加しました。
 セミナーでは、関東地方(栃木、群馬)と近畿地方(滋賀、福井、富山)の自然生態系について取り上げ、 事前に訪問して撮影した画像を用いて紹介しました。
 群馬県の榛名湖や滋賀県の琵琶湖など、森林や湿地、湖沼に焦点を当て、栃木県では、湿地や滝、白樺やミズナラの純生林、さらにはこの地域の固有種であるウラジロモミ(ニッコウモミ)(Abies homolepis)がある非常に美しい日光国立公園を訪れました。榛名湖の周りにも、日本で一般的にみられるミズナラやカラマツ、ヒノキに混ざりモミ(Abies firma)がよく見られました。

 
▲群馬県の県立榛名公園の湖と植生と森林分布の観察

▲栃木県の日光国立公園での気候変動に関する湿原生態系の変化
▲滋賀県の琵琶湖博物館を訪問
 群馬県北西部は、モミが最も広く分布している地域の一つであり、アオモリトドマツも分布していますが、残念ながら雪のため行けませんでした。また、アオモリトドマツは長野県では縞枯山や御嶽山などにシラビソと混在して広く分布していますが、富山県(立山地域)でも確認することができました。私たちは、蔵王山のアオモリトドマツのキクイムシ侵入に重点を置いているため、今回のセミナーにおいてこのような森林の分布は重要なことでした。
 また、ドイツのハルツ山地のトウヒ林で発生したキクイムシ被害について、両国の森林衰退の過程を比較しながら議論し、滋賀県で多く見られる白樺林、特に照葉樹林など、東北地方ではあまり見られない森林生態系についても説明しました。
  
▲福井県の海岸線で東尋坊の観察        ▲富山県の魚津埋没林博物館を訪問

  福井県の海岸線(東尋坊)は、日本海沿いでありながら山形県の海岸線とは全く違いました。また、同じ海岸線上の富山県で1930年代に発見された、魚津の杉の埋没林も紹介しました。これは過去の気候変動によって、海面が上昇し覆われたものだそうです。現在の地球温暖化の影響と関連付けることができ、興味深い事実でした。

■2022.06.22掲載