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第6回記者懇談会を開催しました

山形大学農学部では、年に数回、記者懇談会を開催しています。
10月3日(月)に、令和4年度第6回目の懇談会を開催しました。発表内容は以下のとおりです。


「下水処理水の水田灌漑利用で温室効果ガス排出削減に挑戦
 ~令和4年度国土交通省による下水道応用研究に採択~」

 山形大学農学部教授  渡部  徹   
        
【概要】
 本学の渡部徹教授が代表を務める研究グループ(秋田工業高等専門学校、秋田県立大学、株式会社日水コンとの共同研究)が、国土交通省の令和4年度下水道応用研究に採択されました。

研究テーマは「下水処理水の水田灌漑利用による温室効果ガス排出削減効果の定量化技術の開発」。下水処理水を水田灌漑に利用することで、水田から排出される温室効果ガス(GHG)の削減と、処理水を放流する水環境から排出されるGHGの削減を目指します。研究期間は令和5年度までの2年間、総額6,000万円の研究費で進められます。

 渡部教授は2013年から「下水処理水の灌漑利用による高タンパク飼料用栽培に関する研究」を行っており、実水田での実証試験において肥料を一切使用しない米の収穫が可能であることや、下水処理水を連続地下灌漑することで水田から放出される温室効果ガス(メタン、亜酸化窒素)が慣行栽培の水田に比べて大きく削減されるなどの研究成果をあげてきました。これらを踏まえ、本研究では、下水処理水を水田に灌漑することで農業や水環境からの温室効果ガス排出を削減し、下水道分野におけるカーボンオフセットの推進を目指すため、水田模型を用いた精密試験や実水田での実証試験を進めていきます。

 発表の中で渡部教授は、「今ビストロ下水道事業は高い注目を浴びている。肥料・飼料が高騰する中、それら自給率の向上は今や日本国政府が取り組むべき喫緊の課題。食料安全保障の観点以外に、本研究がカーボンニュートラルに貢献する取り組みであることをアピールすることで、より一層の普及を期待している」と述べました。

 

  
▲発表する渡部徹教授


■掲載日:2022.10.04