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【プレスリリース】江成広斗教授ら合同チームがニホンザル個体群間の「つながり」を示すマップを公開

 本学部江成広斗教授(森林動物管理学)ら合同チーム(山形大学・野生動物保護管理事務所・東北野生動物保護管理センター・兵庫県立大学・自然環境研究センター・里地里山問題研究所・石巻専修大学・神戸大学・富山県自然博物園ねいの里・信州大学・石川県立大学)は、11月10日(木)の学長定例記者会見で、ニホンザルの個体群間の「つながり」(=生息地の連結性)を示すマップを構築・公開したことを発表しました。
 ニホンザルによる農業・生活被害は深刻な社会問題として認識され、各地で捕獲事業が推進されてきました。個体群の絶滅を回避しながら、さらなる被害拡大を予防していくためには、個体群の計画的な捕獲が必要とされます。しかし、各自治体が利用可能な、捕獲事業の適正化に役立つ指針はこれまで限られていました。
 そこで、日本哺乳類学会・ニホンザル保護管理検討作業部会(部会長 [当時]:江成広斗 山形大学・教授)が中心となり、計11の教育研究機関と実務組織からなる合同チームにより、ニホンザルの群れの利用域に関する情報を網羅的に収集し(計2288群。全国の総群れ数の約7割に相当)、景観解析を用いて、各地の個体群間の「つながり(生息地の連結性)」の強度を示すマップを作製しました。
 このマップにより、「被害予防のために積極的な個体群管理が可能な地域(=つながりが強固な地域)」と「保護に配慮が必要な地域(=つながりが脆弱な地域)」の判断を支援でき、各自治体による科学的な捕獲事業の推進に寄与することが期待されます。

▲ニホンザル個体群のつながりの強度と、個体群間を 効率的に連結させるための最適なネットワーク

図の解釈の詳細はプレスリリース記事を参照してください



■プレスリリース:ニホンザル個体群間の「つながり」を示したマップを公開~ニホンザルによる被害拡大の予防と個体群の適正保護の両立に向けて~
■論文タイトル:Optimizing habitat connectivity among macaque populations in modern Japan
■掲載誌:Conservation Science and Practice
■著者一覧:江成広斗(山形大学)、清野紘典(株式会社 野生動物保護管理事務所)、宇野壮春(合同会社 東北野生動物保護管理センター)、森光由樹(兵庫県立大学)、滝口正明(一般財団法人 自然環境研究センター)、鈴木克哉(特定非営利法人 里地里山問題研究所)、辻 大和(石巻専修大学)、山端直人(兵庫県立大学)、清野未恵子(神戸大学)、赤座久明(富山県自然博物園ねいの里)、泉山茂之(信州大学)、大井 徹(石川県立大学)、海老原寛(株式会社 野生動物保護管理事務所)、三木清雅(株式会社 野生動物保護管理事務所)、藏元武藏(株式会社 野生動物保護管理事務所)、江成はるか(山形大学)

 

■掲載日:2022.11.10