文字サイズ

作物育種学研究室の大学院生が東北育種研究集会で優秀ポスター賞を受賞

 2022年11月26日(土)に東北大学新青葉山キャンパスで開催された「第17回東北育種研究集会」において、大学院農学研究科農学専攻生物生産学領域 作物育種学研究室1年の塩谷直弘さんがポスター発表を行い、優秀ポスター賞を受賞しました。おめでとうございます!
 本研究集会は、東北地区内で毎年1回開催されており、東北大学、岩手大学、弘前大学、新潟大学、福島大学、秋田県立大学と山形大学に加え、今回は千葉と北関東の遺伝・育種学に関連する研究発表31題の中から、優秀ポスター賞(2名)が表彰されました。
 今回、塩谷直弘さんが受賞の対象となった発表演題は「ダダチャマメとダイズの交雑集団の作出と高ショ糖蓄積に関わる量的形質遺伝子座の推定」で、小鹿なつめ氏、阿部光希氏、粟野莉奈氏(同所属)、小木曽映里氏(国立科学博物館)、星野友紀氏(同所属)との連名です。
 本研究では、ダダチャマメのおいしさを制御する遺伝子を見つけ出し、ダダチャマメがおいしくなる分子メカニズムの解明を目指しました。塩谷直弘さんは、ダダチャマメとダイズの交雑から得られた新規な交雑集団の開発に成功しました。さらに、自ら開発した実験材料を用いて、ダダチャマメのおいしさの中でも特に甘さに着目し、ダダチャマメの甘さの主要因であるショ糖の高蓄積を制御する量的形質遺伝子座を染色体上に位置づけ、その遺伝子座内の候補遺伝子を推定しました。
 本研究成果により、ダダチャマメがおいしくなるための分子メカニズムが科学的に証明されるだけでなく、ダダチャマメが保有する「おいしくなる遺伝子」を品種改良の道具に使って、新たな良食味エダマメ品種の開発が期待されます。

≪塩谷直弘さんのコメント≫
 この度、光栄なことに第17回東北育種研究集会において優秀ポスター賞を受賞することができました。本研究をご指導いただきました星野友紀准教授や国立科学博物館の小木曽映里博士、本研究の手伝いをしてくださった研究室の皆様に感謝申し上げます。この場を借りて改めてお礼申し上げます。
 本研究はダダチャマメのおいしさメカニズムを解明するために約10年前に先輩方が交配を行い、代々自殖を繰り返して、私の代になってようやく研究材料が完成しました。ここからサンプルを栽培し、収穫期である8月の1ヶ月間はダダチャマメがおいしいとされる早朝に収穫を行い、研究を進めていきました。また遺伝学的な研究であるが故に、1,730株という膨大なサンプル数にもなりましたが、星野先生や研究室の同期や後輩の御協力のもと研究を前に進めることができました。一人では何一つなし得なかった研究でもあります。御協力いただいた皆様には感謝の気持ちでいっぱいです。
 研究の現段階ではダダチャマメのおいしさメカニズムに関わる一部の遺伝子を推定することができましたが、まだまだ多くの遺伝子がダダチャマメのおいしさに関わっていると考えています。今後もダダチャマメのおいしさメカニズムの全容を理解するために研究に邁進したいと思います!

  

▲【写真左】発表したポスターの前で賞状と副賞を手にする塩谷直弘さん
▲【写真右】2022年6月中旬、山形大学農学部附属やまがたフィールド科学センター高坂農場の実験圃場に、新たに作出した実験材料を移植し終えた塩谷直弘さん(右端)と研究室の学生

▲東北大学の北柴大泰先生から授与された優秀ポスター賞の表彰状

 本研究の一部は、(公財)マエタテクノロジーリサーチファンド、(一財)キーコーヒー柴田裕記念財団、(公財)山口育英奨学会、(公財)飯島藤十郎記念食品科学振興財団、(公財)不二たん白質研究振興財団と、山形大学YU-COE(M)、(C)および山形大学アグリフードシステム先端研究センター(YAAS)の支援を受けて実施されました。

 

■掲載日:2022.12.08