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第7回記者懇談会を開催しました

山形大学農学部では、年に数回、記者懇談会を開催しています。
12月20日(火)に、令和4年度第7回目の懇談会を開催しました。発表内容は以下のとおりです。


「カンボジアのトンレサップ湖における大腸菌の検出とその遺伝子解析
  ~空間分布、季節変動、病原性、薬剤耐性~」

 岩手大学大学院連合農学研究科地域環境創生学専攻 博士課程2年(山形大学配属) 米田 一路   
        
【概要】
 岩手大学大学院連合農学研究科地域環境創生学専攻(山形大学配属)の米田一路さん(博士課程2年)の研究論文が、世界的に評価の高い国際学術誌「Environmental Pollution」(Impact Factor:9.988)に掲載されました。
 研究テーマは、「カンボジアのトンレサップ湖における大腸菌の検出とその遺伝子解析~空間分布、季節変動、病原性、薬剤耐性~」。東南アジア最大のカンボジアのトンレサップ湖は、その湖上の水上集落で暮らす人々がふん便を含む生活排水をほとんど直接湖に排出しているため、ふん便に汚染されています。一方で、水上集落で暮らす人々は、この汚染された湖水を生活水として利用しているため、常にふん便由来の病原体に感染する危険にさらされています。
 本研究では、トンレサップ湖全域のふん便汚染状況を調査し、湖上の水上集落でふん便汚染が特に深刻であること、また湖には下痢等の原因となる病原性大腸菌や薬の効かない薬剤耐性大腸菌が存在することが分かりました。そして、水上集落で暮らす人々は、これらの菌に感染するリスクにさられている一方で、その発生源にもなるという悪循環に陥っている状況であることを明らかにしました。
 発表の中で米田さんは、「このような世界的に評価の高い雑誌に掲載されたことを光栄に思う。論文の作成にあたり、指導教員の渡部先生をはじめ、協力してくださった皆様に感謝申し上げたい。」 と述べました。本研究成果は今後、湖のふん便汚染を低減し、湖上の水上集落で暮らす人々の健康を守るための効果的な対策立案に活用されることが期待されます。

▲発表する米田一路さん(左)と指導教員の渡部徹教授(右)

  • 雑誌名:Environmental Pollution
  • 論文タイトル:Detection and genetic analysis of Escherichia coli from Tonle Sap Lake and its tributaries in Cambodia: Spatial distribution, seasonal variation, pathogenicity, and antimicrobial resistance
  • 著者:Ichiro Yoneda,Ulya Nur Rozannah,Masateru Nishiyama, Hasika Mith,Toru Watanabe
  • DOI:doi.org/10.1016/j.envpol.2022.120406


■掲載日:2022.12.22