山形大学農学部附属やまがたフィールド科学センター流域保全部門は、上名川演習林および生物多様性保全研究園のフィールドを中心に、持続可能な森林管理、森林生態系の修復・保全など環境保全型森林管理技術の構築に関する教育研究を行っている。
上名川演習林は、農学部から南へ26km、朝日山地の急峻な豪雪地帯に位置し、753haの森林面積のうち80%がブナ主体の天然生落葉広葉樹林である。流域保全部門では、このような演習林の自然的特性を生かし、森林生態系と積雪環境の相互作用や利雪・親雪に関する教育研究、水循環および物質循環の長期通年モニタリングを行っている。
また、演習林と農場が同一流域に位置するという地理的条件と地域の伝統的な農林業の特色を教育研究に生かすため、エコ農業部門や学科と協同して、焼畑による温海カブ等の栽培や育林放牧について実践し、林業と農業と畜産が共生したアグロフォレストリーの生きた教材として活用している。また、教育研究成果を地域社会に還元するため、一般市民を対象とした公開行事も行っている。
生物多様性保全研究園は鶴岡市内若葉町の閑静な住宅地に囲まれており、学生実習、実験苗圃、ストックヤード、樹木園、あるいは地域住民の散策の場として多面的に利活用されている。