21世紀の農学
農学発展のため具体的課題(施策)
(1)環境と調和する食糧生産に関する科学技術の開発
- 土壌流亡、塩類集積に代表されるような土壌劣化の防止と土壌改良技術
- 地下水汚染などの起こらない環境保全型の持続性をもった栽培技術体系の確立
- 環境適応型植物種のバイオテクノロジ-による開発 (光合成効率・収量効率の高い作物種、貧栄養土壌・乾燥地でも生産効率の高い作物種、保存特性・加工特性に優れた作物種などの開発)
- 昆虫のタンパク質資源などの有効利用 植物自身の力による植物防御システムの確立
- 海洋生態系環境と調和した増養殖漁業による魚介類の開発生産
- 重要魚種の最大持続生産量の増大技術の開発

(2)生物機能の開発と応用に関する科学技術の発展
- 生物による生物の制御技術の開発
- 生物農薬の開発 (微生物により生産される有用物質をバイオテクノロジ-を利用して大量生産し、目的とする生物を制御して、生物生産をコントロ-ルする技術)
- バイオロジカル・コントロ-ル(有害生物の生息数を生物防除によって制御する技術
- 資源のリサイクル技術の開発
- 微生物育種による農産廃棄物の再利用システムの開発
- プラスチックなど難分解性の廃棄物を分解する微生物の開発・微生物の生理活性を利用した金属汚染の除去
- 微生物による安全な酵素、食品添加物、機能性食品の開発
- 生物の非破壊観察、および計測技術
- 生物材料の安定供給のための培養・保存技術の開発、バイオリアクタ-・バイオセンサ-技術の発展
- 魚介類の特性を生かした機能性薬品、食品の開発


(3)自然生態系の保全・修復に関する科学技術の開発
- 熱帯林・乾燥地帯林などの生態系の解明と再生に関する科学技術の開発
- 酸性雨など各種汚染による自然生態系破壊のメカニズムの解明とその再生技術
- 生物的多様性の保全と遺伝資源の保全
- 砂漠緑化や乾燥地域の農地保全
- プランクトン・ベントス・海洋細菌・土壌微生物の機能を利用した環境修復技術
- 沿岸海洋環境の保全と修復に関する水産工学技術
- 生物の環境応答能を利用した自然生態系のモニタリング技術の開発
(4)動物の多面的機能の開発・利用に関する科学技術の開発

- 動物生産における新たな課題
- 海洋生物の食物連鎖による環境調和型の水産技術
- 家畜糞尿処理を解決する環境調和型の飼育技術
- ワクチンや薬の投与に依存しない免疫遺伝学的技術の開発
- 新しい実験動物等の開発 (人の疾患モデル動物、臓器提供動物等)
- 野生動物の保護・管理技術
- 高等ほ乳動物全般にわたる生命・遺伝情報の蓄積と応用
- 人工湧昇あるいは沿岸底層水のくみ上げによる魚介類生産の増大
- 機能性食品の提供が可能な動物生産技術の開発
(5) 人間の健康と生活社会環境の充実に関する研究の推進

- 持続可能な方法での生物生産と農山漁村の開発
- 地域資源利用の効率を高める生産方式の多角化
- 条件不利地域における地域振興方策
- 持続可能な農林漁業と農山漁村開発と国民参加
- 都市再開発計画における農業と緑、水産と渚の役割に関する研究
- 自然景観の保全、再生、修復に関する技術
- 観賞用の植物や魚種の開発、動物園・植物園・水族館の役割に関する研究
- 長寿生活を豊かにする食糧・健康資源の供給