研究紹介
#10 山形で進める野生哺乳類の生態研究
みなさんは野生哺乳類のことをどれくらい知っているでしょうか?日本人にとってなじみ深いタヌキやノウサギでも、その生態をよく知っている人は意外と少ないのではないでしょうか。私たちの研究室では、そんな哺乳類たちの生態を調べています。
生態といってもいろいろですが、私たちの研究室では主に3つのテーマに取り組んでいます。1つ目は人間活動と野生哺乳類の関係です。農業、林業、都市開発、交通、レクリエーションといったさまざまな人間活動が、野生哺乳類の生態に対してどのような影響を与えるか調べています。2つ目は中型哺乳類の種間関係です。生態的に競合しあう動物たちはニッチを分割することが知られていますが、日本の中型哺乳類では研究がほとんどないため、どのような種間関係の仕組みがあるのか調べています。3つ目は野生哺乳類の食性や環境利用などを調べる基礎研究です。日本に生息する哺乳類について、哺乳類学者たちがこれまでに多くのことを明らかにしてきましたが、それでもまだ分かっていないことがたくさんあります。とくに、東北地方や多雪環境における哺乳類の生態については情報が不足しています。私たちの研究室では野生哺乳類の基礎生態を解明し、その情報を世の中に蓄積しています。
このように、私たちの研究室では山形県の自然を利用し、さまざまな視点から野生哺乳類の生態研究に取り組んでいます。
▲みんなで上名川演習林を歩く様子 | ▲発信機を取り付けた動物を追跡している際の一コマ |
▲厳冬期に自動撮影カメラで撮影されたニホンテン |
■2022.12.1掲載
研究一覧
- #01「DNA解析で紅花や青苧の起源を探る」 笹沼 恒男(植物遺伝・育種学)
- #02 「メタボロミクスで生命現象を理解する」 及川 彰(農産物生理化学)
- #03「風土に調和した在来作物の古くて、新しい"つくりかた"を次世代へ」渡辺 理絵(環境地理学)
- #04「鳴声を利用してシカとサルを自動で検知する低コスト技術を開発 」江成 広斗(森林保全管理学)
- #05 「 農業簿記・会計を用いた農業者のマネジメント能力の向上 」家串 哲生(農業会計学)
- #06 「 無限の可能性―微生物から天然物の探索― 」 塩野 義人(発酵制御学)
- #07 「 ロボットやドローンで作物の病害を検出索― 」 小林 隆 (植物病理学)
- #08 「 無人機による山形県の森林の樹種分類やバイオマスと健全性の情報取得 」 ロペス・ラリー (森林学)
- #09 「 人間と機械が協調するスマート農業 」 片平 光彦 (農業機械学)