山形大学農学部

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セネガル通信③

 青年海外協力隊野菜栽培隊員 佐藤 麻衣 (平成29年3月本学大学院農学研究科修了)

 こんにちは,佐藤麻衣です。セネガルは乾季の真っただ中,雨が10月から降っていません。そんな乾季が野菜栽培の時期なのです。私もここに来るまでは雨季が短くてどうしよう,乾季何しようと思っていました。雨季は稲,ひえ,落花生など穀物の栽培で忙しいため,野菜は栽培しないそうです。今回は私の巡回している畑の様子を何回かに分けて紹介したいと思います。

 早い人は12月末からコツコツと植え,すでに収穫を迎えている野菜もあるのですが,今から植えるという人もいます。野菜の種が買えないというのは途上国でよく聞く話です。ここではどうしているかというと,お金のある人が多く種を買って苗を育ててそれを売るという形式をとっていました。つまりお金のある人はまたまた儲かるという仕組みです。こちらでは「厚蒔き」が普通なので,蒔く種の量が多いです。私から見たら「そんなに蒔いたら勿体ない!!」と思うくらいです。たぶん日本の3~10倍は蒔いています。間引きも基本しないので,芽が出て苗にするころには徒長しもっさりして窮屈そう。もちろん苗の質もばらばらです。トマト,ナス,ピーマン,キャベツ,レタスとなんでも直播で苗を作り,大きくなれば雑草を抜くように抜き取って移植します(ポットで育苗は普通しません)。根に土がついてないので太陽にさらされている状態です。そんな扱いしたら根っこがかわいそう。苗の定植の時期も指標がないので小さいものから大きいものまでお構いなしに移植します。だから根のダメージを大きく受けた小さい苗や乾燥に弱いレタスは枯れ,大きい苗も回復までにとても時間がかかっているように感じました。いっぱい蒔いていっぱい植えて,ひとつひとつを大切に育てる日本のやり方とは大きな違いです。

 さて,肝心の定植ですが適切な株間がわからない人が多いです。キャベツも20cm弱しか間隔が無かったり,玉ねぎも5cm間隔でびっしり植えてあったり。こんな間隔で植えるなんて信じられない!!と思うところですが,いつも「なんでこういった方法を取っているのだろう」と考えることにしています。人に聞いても「こうだからこう」としか答えが返ってこないのでなかなか答えが見つからず,何か月も経ってから気づくこともあります。

 この厚蒔きや栽植密度の高さは「枯れて失敗するならいっぱい植えた方がいい」という考えだと私は結論付けました。それを分かった上で,やっぱり改善した方がよいと思うところは言い,まあこの土地だししょうがないなと思うところはそのままにしています。やはり植えすぎはよくないと判断したので,正しい栽植密度を教えることにしました。方法は簡単,植える前に畑に印をつけることです。指で間隔を測って,縦横に線を引き,交点に植えるという方法をとりました。なんか間があると植えたい気持ちになるのも分かるのですが,交点だけと決めることでその気持ちを防げます。4ヶ月経てば周りの畑はいつも通り小さい玉ねぎが大量にとれるはずです。私が教えたおばちゃんのところでは大きい玉ねぎが取れるようになるのか,どきどきです。