山形大学農学部

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セネガル通信④

 青年海外協力隊野菜栽培隊員 佐藤 麻衣 (平成29年3月本学大学院農学研究科修了)

 こんにちは,佐藤麻衣です。全く季節感を感じないセネガルですが,畑でちっちゃな春を見つけました。「菜の花」です!!みんなが栽培しているダイコンに花が咲いてしまっているのです。花が咲くと肝心の根が太らずダイコンが収穫できないということもあり,とりあえず花が咲いたら摘み取ろうと言っています。そのあとに「私が食べるから頂戴ね」という言葉も付け加えて。ダイコンの葉や花,間引いたニンジンなどセネガル人は食べないので私が食べるというとみんな驚きます。

 雨が降らないここでは,どうやって水を確保するかというと,水はもちろん井戸から汲み上げます。私の任地は内海が近く地下水位が高いので6m位で水が出てきますが,内陸に行くと20m以上も掘らないと水が出ないそうです。5リットルほど入るバケツを何度も何度も引き上げ,水を運ぶのはとても時間がかかり,大変な作業です。畑にいるほとんどの時間がこの作業で終わってしまいます。ここの井戸の水がなくなれば隣の井戸まで水汲みに行くこともあります。もちろん,モーターポンプで水を汲みあげるという手もありますが,モーターポンプ自体が高価であり買えません。もしお金を出し合って共同で買えたとしても誰が管理するか,オイル代,修理代を出せるかという問題が出てきます。物を差し与えるボランティア団体もいますが,これは根本的な解決にはなりません。もっと楽に早く水が汲めたら,他の作業に費やす時間が増えるのにと思いながら。そういえば,「日本で水やりってどうするの」と聞かれたけど,私は高坂の圃場で水やりをした記憶がありません。定植の時は一生懸命水を運びましたが,大きくなってからは畝間灌水くらいでしょうか。毎週のように雨が降る日本は恵まれていますね。そう考えると毎日の大量の水やり,本当にそんなに必要なのか疑問に思ってきました。

 前回の定植は四角の枠の中に定植するものでしたが,ナスやピーマンなどはポケと言われる穴を作って植えます。でもその穴の開ける場所がこれまた適当です。これには理由などないでしょう,場所があれば穴を掘って植えておこうという感じです。穴をあけて植えようとしている人を見つけると必ず「どこ歩くの?」と聞きます。だいたいは「ここ歩けるでしょ」とくねくねした道を指して言われるのですが,それは苗が小さいうちだけです。もし大きくなったら両手にバケツを持って歩けるのか,本当にこの道歩きやすいのか,成長した時のことを考えて計画的に植えたいですね。