山形大学農学部

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渡辺昌規准教授が三和油脂株式会社、名古屋学芸大学との共同研究成果を発表しました

 本学部渡辺昌規准教授(バイオマス資源学)と三和油脂株式会社、名古屋学芸大学による共同研究チームは、11月22日(木)の学長定例記者会見で、食物アレルギー原因物質を含まない、高濃度のアレルゲンフリータンパク質を脱脂米糠から製造する技術を開発したことを発表しました。
 米油製造においては、米油の抽出後に原料の80%以上もの大量の副産物として脱脂米ぬかが発生することから、飼料・肥料用途以外の新規用途開発は長年の課題となっていました。共同研究チームは、米ぬかに含まれる米アレルゲンタンパク質が、米油抽出過程により不活性化することに着目し、米油抽出後の副産物から、食品原材料となりうるアレルゲンフリーのタンパク質製造を目指し、平成25年より研究を進めてきました。
 本技術により回収・精製されたタンパク質(脱脂米ぬか由来)を分析した結果、食物タンパク質の栄養価の指標であるアミノ酸スコアの値は、76.6%と玄米に相当する高い値を示しました。
 また、アレルゲンに関しては、米ぬかに含有する米アレルゲンタンパク質は、米油抽出過程により、不活性化されます。加えて、食物アレルギー物質(特定原材料:卵・牛乳・小麦・そば・落花生・甲殻類(海老・蟹)の7品目)、重金属類(カドミウム、錫、鉛)も未検出であったことから、食品原料として利用可能な安全性の高い高濃度のアレルゲンフリータンパク質であることが示されました。
 来年度中には、病院食、健康食品での活用を前提とした商品開発を目指す予定です。
 本成果は、食品科学分野の国際学術誌 LWT-Food Science and Technology (Switzerland)へ掲載されます。

  
▲11月22日学長定例記者会見にて
(左から渡辺昌規准教授、三和油脂株式会社代表取締役社長 山口與左衛門氏)    

<参考>
☆学部HP 6月12日掲載記事
https://www.tr.yamagata-u.ac.jp/news/2018/news879.html
☆大学HP 11月22日プレスリリース
https://www.yamagata-u.ac.jp/jp/information/press/20181122_01/

(2018.11.28)