山形大学農学部

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研究紹介

#03 風土に調和した在来作物の古くて、新しい"つくりかた"を次世代へ

准教授 渡辺 理絵(環境地理学)

 東北には古くからつくられてきた農産物が数多く存在します。在来作物と呼ばれるもので、その生産の記録が江戸時代やそれ以前まで遡れるものも少なくありません。郷土で連綿とつながってきた種はその土地にあった"つくりかた"で受け継がれてきたものです。  

 渡辺研究室では、こうした作物を地域資源ととらえ、環境に適した作物生産やその価値を再評価することに取り組んでいます。近年、岩手県北エリアの雑穀栽培を調べています。雑穀の持つ食品機能性への注目から生産が復活したアワ、キビ、ヒエ、アマランサスですが、有機栽培による雑穀生産の方法は江戸時代の農書にも通じる要素が多分にあります。品種、輪作体系、耕地の選定、耕地一筆のつかい方、鳥獣との関連(etc)などなど、環境にやさしい「つくりかた」で生産された雑穀はアレルギーに悩む人々の食物となっています。現在、当地の雑穀は「需要>供給」の状態です。古地図・文献調査と現地調査をとおして、「過去」と「いま」を行き来しながら、風土に調和した作物の生産様式の特徴を解明し、その価値を「未来」へつなげることを目指しています。

 本研究は、「科学研究費助成事業(若手研究B)」および山形大学・大日本印刷(株)・山形県立米沢栄養大学「ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ事業」からの研究費によって進めています。

   
▲「猫足あわ」(岩手県二戸市)(左)と背丈より高いアマランサス(株間の計測調査時)(右) 
▲明治期の九戸村の土地利用: 白=田、ピンク=畑・切替畑・焼畑、 緑=森林(盛岡県図蔵)


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